交通事故で脳挫傷になった場合の後遺障害とは?


自動車の原型が無くなる程の激しい交通事故では、頭部を損傷して即死するケースが多く、助かっても重症や重体になってしまうことが殆どです。その中で最も多く診断されるのが脳挫傷と言われています。交通事故での脳挫傷はどのような状態で起きてしまうのか、そして脳挫傷になった場合の症状や治療法、後遺障害などについても詳しく解説していきます


脳挫傷とはどんな怪我?

交通事故などで強い外力を頭部に受けることによって、頭蓋骨で囲まれた脳にまで損傷を及ぼします。脳は挫傷して血管や神経を傷つけてしまい、場合によっては死亡することも少なくありません。交通事故で病院に搬送された場合には必ず頭部の検査が必要です。

頭部の骨折や裂傷などがある目に見える外傷は勿論ですが、たまに外的変化が無くても脳挫傷を起こしている場合があります。出血などがしていなく、髪の毛などで覆われているために頭蓋骨の陥没骨折を見逃してしまうのです。

医師は見た目で診断しないで触診をして正確な検査をすることが必要です。また自損事故などで車体の内枠に強打をしたときや、バイクで転倒したときに軽症だと思い込み放置してしまうことがあります。そんな場合でも脳挫傷を起こしている可能性があるので、必ず脳神経外科にいくべきです。

僅かな出血でも脳内に浸透していき、神経や脳自体に影響を及ぼすからです。早期に病院に行かなければ、重い障害が残ることもあるのです。

症状はどんなものか?

交通事故で頭部を損傷し脳挫傷になると、一般的な症状は頭蓋骨骨折や脳内出血が高確率で発症します。脳内の動脈を傷つけると、大量の血液が噴出し脳全体を覆いつくしそのまま死亡するケースもあります。事故の衝撃が激しく脳挫傷を起こすと、事故の現場で意識を失うことが殆どです。

重篤な場合では脳の損傷により交通事故の被害者の意識が回復しない状態になることがあり、交通事故の後遺障害等級で最高の1級の遷延性意識障害に繋がっていきます。事故で意識があっても嘔吐や痙攣、麻痺などの症状がある場合は、脳挫傷の確率が高いので早急に検査して手術の準備をする必要があります。

また軽度の痺れやふらつき、言葉がはっきりと言えない状態は脳梗塞を起こしている可能性があります。一時的な記憶障害なども発症することもあり、もの忘れもしやすくなる場合もあります。救急搬送されないような軽微の怪我でも、時間が経つにつれて症状が出る場合があるので、少しでも違和感があり家族もそれを感じたら直ちに脳神経外科に検査に行きましょう。

MRI検査が重要です

脳挫傷に限らず脳の疾患の検査はCT、MRIが一般的です。レントゲンなどは細かい神経や血管を映像化できないので脳の疾患には向いてなく、頭蓋骨骨折の確認のみに使われます。CT検査は主に断層撮影がメインであるため、神経や血管の流れまでは細かい画像は映せません。

出血個所や炎症個所を確認するのに使われます。MRIは細かい血管の流れを全て見ることが出来ます。どこで出血しているか、どこの脳が損傷しているのか一目瞭然で分かります。交通事故の脳挫傷の際、神経損傷のびまん性軸索損傷の疑いのある場合はMRIでしか発見できず、しかも日が経つとそれと断定できないため事故直後の検査が必要になります。

このびまん性軸索損傷は外見的に骨折や裂傷が無く、医師が重傷でないと診断する場合もあります。それにより発見が遅れて症状の回復が遅くなり、後遺障害等級の申請にも影響が出てきます。自動車が全損するような事故では、外見に異常が無くても必ずMRIの検査はした方が良いでしょう。

どのような治療の方法があるのか?

交通事故後に被害者が脳挫傷になり意識が戻らないことや、様々な障害が発症してしまった場合は、元の生活ができるのか問題となってきます。現状から言えば脳挫傷は近代医学でもとても難しい治療なのです。事故の衝撃で脳細胞や血管、神経などの損傷を受けた脳は、現時点の医学では再生する治療はまだ進んではいないのです。

今後IPS細胞など細胞の再生技術が進んでいけば、将来的には損傷した個所を再生できるかもしれません。治療方法は急性症状に対応した緊急手術や、これ以上の症状の悪化を防ぐために保存的治療をしていきます。緊急手術では脳内に溜まった血腫を除去し、出血している血管の修復をおこないます。

血腫が小さく出血も微量であれば、保存療法にして脳圧を下げる点滴の投与や投薬などで様子を見ていきます。手術と保存療法の経過が良ければリハビリ治療を始めます。リハビリ治療は理学療法士や作業療法士などが付き添い、運動能力回復のためプログラムを作成して実行します。

歩行練習や物を掴む練習を徐々におこなっていきます。言語障害が出ている場合は言語聴覚士が、正常に喋れるようにリハビリをおこないます。このように日常生活に復帰するためにリハビリをしていきますが、手足に麻痺や痺れが残存し場合によっては寝たきりになる被害者もいます。

そのような場合は後遺障害の認定を受け、等級別に補償を受けることができます。

交通事故の後遺障害で非該当になった時の示談交渉

3つの代表的な後遺障害

脳挫傷には大きく分けて3つの代表的な後遺障害があり、どれも後遺障害等級として認められるものです。

遷延性意識障害

遷延性意識障害は意識が回復せず、俗にいう植物状態になる障害です。交通事故の後遺障害等級で最高の1級の後遺症です。交通事故で頭を強打し脳挫傷を引き起こし、意識を失い脳内出血により脳の細胞の大部分が死滅した場合は回復することは殆ど無く植物状態のまま一生を終えることになります。延命のため喉を切開手術して直接栄養を胃に入れて命を繋ぐことしかできないのです。ただ比較的若い被害者が知覚神経や感覚神経を刺激することによって回復する症例もあるようです

高次脳機能障害高次脳機能障害は脳の認知機能が正常に働かない後遺症です。中枢神経系の基となる脳の中枢組織が損傷を受けると中枢神経系が上手く働くことができずに、物忘れや集中力の低下、失語症などの後遺障害が発生します。

外傷が無い様に見えて、むち打ちなどの症状や事故のストレスと勘違いされてしまうこともあります。脳神経外科の専門医でないと発見できないこともあるので、頭部を打撲したら必ずMRIなどの検査を脳神経外科で受けることが大切です。

外傷性てんかん外傷性てんかんは交通事故で脳挫傷になると、一時的に痙攣したり意識を失ったりする発作の症状です。

外傷性てんかんには超早期てんかん、早期てんかん、晩成てんかんがあり超早期てんかんは24時間以内に発症し早期てんかんは1週間で発症します。この二つは早い段階の治療で後遺障害は残らず回復しますが、晩成てんかんは事故後1週間から10日前後で発症するため後遺障害が残ることが多く、後遺障害の認定対象になります。

参考元(交通事故 後遺症
後遺障害(後遺症)とは | 交通事故の慰謝料・弁護士相談ならアディーレ法律事務所